日常風景を活用したプロモーション
- #Case study
そんな日常風景の中のさりげない一幕を活用し、様々なメッセージを伝えることに成功しているプロモーションを本日はご紹介します。
①IKEA(スウェーデン/家具)
タイトル:WHERE LIFE HAPPENS
内容:IKEAがスウェーデンで実施したCM。
「IKEAが消費者の生活に寄り添っている」というメッセージをコミュニケートするための広告です。
動画は両親と息子の3人家族が、リビングのテレビでスリリングな映画を見ているシーンから始まります。
映画に熱中していた家族ですが…放送の途中にテレビCMに入ってしまい、子供は無言で席を立ち、母は「CMは嫌いだわ」と言いながら携帯電話をいじって席を立ち、そして父は「クソだ」と言い放ち、席を立ってしまいます。
本CMは尺が合計1分間ですが、“ここまで”で約30秒間、残り30秒で、誰もいなくなったリビングにて、そこにある“IKEAの家具を一つずつ紹介するテロップと価格”が現れるという構成です。
このCMはスウェーデンの映画館、テレビ、インターネットメディアにて公開されました。
「CMの間で席を立つ」という日常の“あるある”を描き、まさにその瞬間に商品の紹介を行うことによって、消費者の日常に寄り添っていることを示唆した動画広告でした。
②IKEA(スペイン/家具)
タイトル:Start something new
スペインのIKEAが“start something new(新しいことを始めよう)”というテーマのもと制作した、ストーリー仕立てのショートフィルム。
物語の主人公は一人のおじいさん。毎日公園に来て、同じベンチの同じ場所に座ってハトに餌をやっています。特に変わったこともなく、退屈な日々を過ごしています。
③スターバックス(UK/飲食店)
タイトル:Every name’s a story
内容:スターバックスがイギリスで発表したLGBT広告。
同社は、LGBTにまつわる動画CMを作成。動画内では、トランスジェンダーの若い男性のストーリーが繰り広げられます。
男性は、日常でのいろいろな場面で、出生名であるJemmaを名乗りたくないと葛藤と戦います。そんななか、最終的にスターバックスでドリンクを注文した際に初めて、Jamesという自分自身を表す名前を名乗るのです。
動画CMは、イギリスのチャンネル4の広告アワードを受賞。2020年2月27日時点で、YouTubeにて16万回以上再生されています。
また、同社はチャリティクッキーを販売することで、チャリティ団体Mermaidsに最低10万ポンドの寄付をすることを約束しました。
注文する際に、名前を聞いてカップに記載するというスターバックスのカルチャーをうまく活用し、LGBTへの理解を示したキャンペーン施策でした。
まとめ
そして派手だったり、ウケを狙ったような表現ではないため、スマートでありながら視聴者の心を自然に揺さぶることができるのも特徴です。
ただしこのような表現を成立させるためには、さり気なく、それでいて「日常」の中に紛れ込む、ちょっとした変化を拾い上げてクリエイティブに落とし込まなければなりません。
そのためには、常日頃ちょっとしたことにも反応し気付けるよう、頭を柔軟にしてアンテナを張り巡らせることが大切だ、と岡田は強く感じました。
「日常」での気付き。こんなさりげない当たり前への気付きが、一つの大きな変化を作る種になるのかもしれません。