語らず、伝える。
- #Case study
企業とブランドについて、様々な観点から考察していく
ブランデッドコンテンツ特集の第二回目。
というわけで、ブランデッドコンテンツを色々見てみたのですが、
「私たちは…〇〇。」
「私たちは…〇〇。」
「私たちは…〇〇。」
すごく語ってきません?
めちゃくちゃ語ってくるなあ…というのが率直な感想です。
言葉が多すぎて、結局何が言いたいのかよく分からなくなってしまいます。
それと、せっかく映像というメディアを使っているのに、言葉に頼りすぎるのはなんだか勿体ないなと思うのです。
言葉はメッセージを伝える上でとても偉大な表現方法ですが、ともすれば説教くさく感じたり、胡散くさく感じたりもしてしまいます。
前回は可視化できない想いを代弁するための「存在」として球体が取り上げられていましたが、今回は「語らず、伝える」映像表現の妙や企画力で構成されたブランデッドコンテンツをご紹介します。
①Getty Images (ブラジル/ストックフォトサービス)
タイトル:
Endless Possibilities
内容:
ダイバーシティーと無限の可能性。
大手ストックフォトサイト・ Getty Imagesが、ブラジルで実施したプリント&フィルムキャンペーン。
Getty Imagesが伝えたいこと、それはストックフォトサイトとしての画像の豊富さ・多様さです。
そこで彼らは、誰もが知る世界的な著名人の“イメージ”を活用したクリエイティブを公開しました。
チャールズ皇太子、ダライ・ラマ14世、アンゲラ・メルケル首相、ローマ法王。
切り貼りされて出来上がったかのように見える偉大なリーダーの肖像写真ですが、目や鼻、口など彼らの顔の各パーツが、(ストックフォトサイトにある)様々な人物写真のパーツを基に作られているのです。
コピーは
Millions of images. Endless possibilities.
(数百万点の画像。無限の可能性。)
この一言で十分伝わります。
画像の豊富さ、多様性。
むしろ、この一言から多くのことを想像できるのです。
なお、エディトリアルフォトは一切使われていないとのこと…!
②ホンダ(UK/自動車)
タイトル:
Hands
内容:
好奇心と「手」が作ってきた歴史。
日本を代表する自動車メーカー、ホンダ。
創業以来、バイクに始まり、自動車、世界初の二足歩行ロボット、さらにはホンダジェットと呼ばれる航空機に至るまで、時代のニーズに合わせて様々なプロダクトを生み出してきました。
それらは全て、技術者たちの「面白いもの、便利なものを作りたい」という「純粋な好奇心」と、それを具現化する「手」があってこそ。
たった一つの小さな部品から始まり、様々なプロダクトが2つの手から紡ぎだされていくストーリー。
ブランドの「想い」「姿勢」が、言葉を介さずとも伝わってきます。
③MUJI 無印良品(日本/小売)
タイトル:
夢見るだけじゃない。
わたしたちは実現していく。
内容:
ソフトバンクの事業領域と未来のビジョンを伝える
ブランデッドムービー
2020年、40周年を迎えた無印良品。
生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくるという、生活美学への探求を続けてきた無印良品は、40周年に際して「掃除」をテーマとして取り上げました。
撮影が行われたのはCOVID-19が世界を席巻する前の2019年。
2020年、世界が一変し、生活の営みや本質を見つめ直すことになった人々も多いはず。
そのようなタイミングでのローンチは完璧だったように思えます。
「掃除」という文化や文明を超えた営みの中に、暮らしの本質が潜んでいる、多くを語らずとも、生活を見つめ続けてきた無印良品の企業姿勢が伝わってきます。
まとめ
1分間の動画には、Webサイト約3600ページ分の情報量があるそうですが、人間がその1分間で受け取れる情報量には限りがあります。
とはいえ「自分のブランドはこれだ!」というような唯一の要素は、中々絞れないと思います。
しかし、その要素を整理して、どんな表現をすればユーザーに伝わるのか頭をこねくり回せば、必ずや語らずとも伝わるブランデッドコンテンツは生み出すことができます。
どんなブランドにも、独自の想い・姿勢・目的は潜んでいるはずなのです。
そんな秘められたポテンシャルを発掘して光を当てることで、語らずともブランドの世界観や文化、イメージや想いを伝えることができるのではないでしょうか?