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魅力的なコンテンツを作る秘密

  • #Case study

【ブランデッドコンテンツ特集 Vol.06】

企業とブランドについて、様々な観点から考察していくブランデッドコンテンツ特集の第6回目。
消費者をファンに変える広告の仕掛けとは一体なんなのでしょうか?
今回はブランデットコンテンツの具体的な演出にフォーカスしていきたいと思います。ブランデットコンテンツの鍵となるものは何かを演出の面から考察していきます。

①High School Girl?(資生堂/化粧品)

タイトル:
メーク女子高生のヒミツ

内容:
謎めく女子高の教室。この教室には、ある秘密が隠されている・・・?

 

 


本プロモーションのコンセプトは、人を美しくする「メイクの楽しさ」。
有名過ぎて内容を紹介するまでもない事例ですが、演出的な面からこの映像に隠された仕掛けを考察していきたいと思います。 前提として「何度も見たくなってしまう構成の仕掛け」があります。 可愛い女の子が男の子だった事実に気づく瞬間。予想を裏切られる驚きとともに今まで見ていた虚構をもう一度確認したくなってしまいます。

 


演出としての仕掛け 其の①
「音楽の切り替わり」
映像冒頭より女性ボーカルで音楽がスタートします。女性ボーカルのはかない歌声によって映像に登場する男性たちがより女性らしく感じるような演出となっています。映像中盤の真実が明らかになる瞬間から男性ボーカルに切り替わり、映像の肝となる仕掛けをより魅力的に演出しています。

 


演出としての仕掛け 其の②
「そぎ落とされた背景」
映像の前半は、学校の教室という設定が理解できる程度に背景の小道具・美術セットを削ぎ落としています。背景は純粋さをイメージするような白色を基調とし、女性らしさを演出しながら、個々の顔に目がいくような仕掛けで驚きを後押ししています。構成の仕掛けが明らかになるにつれて教室内の美術セットが増えていきます。

②「GRAVITY DAZE2」発売記念PV(プレイステーション/ゲーム)

タイトル:
GRAVITY CAT/重力猫

内容:
ゲーム紹介

 

 


続いて紹介するのはプレイステーションから発売されたGRAVITY DAZEというゲームのプロモーションです。乃木坂46の伊藤万理華さんを起用した本プロモーションは,子猫が壁や天井を自由に走り回る様子や,重力変化に慌てふためく姉妹の姿を描きながら、重力アクションアドベンチャー「GRAVITY DAZE 」の世界観を体現しています。

 


演出としての仕掛け 其の①
「ワンカット撮影」
ワンカット撮影という手法によって視聴者は非現実と分かりながらも、そのリアリティーある映像の世界観に引き込まれていきます。ワンカット 、つまりは意図的に編集されたフィクション的要素がない分、そこにリアリティを感じてしまいます。(意識的には虚構であることは理解しつつも)

 


演出としての仕掛け 其の②
「主観映像 (POV)」
POVとは、「point of view(ポイント・オブ・ビュー)」の略で、映像や撮影の領域では「一人称視点」で撮影する「主観ショット」「視点撮影」のことを言います。 カメラの視線と登場人物の視線を一致させることで、視聴者自身もあたかも登場人物になったかのような没入感で映像の世界へ引き込まれます。そしてこの手法もリアリティーある映像の裏付けとなっています。

③相鉄都心直通記念ムービー(相模鉄道 /鉄道)

タイトル:
相鉄都心直通記念ムービー

内容:
都心直通記念

 

 


最後に相鉄都心直通記念ムービーを紹介します。 この記念ムービー「100 YEARS TRAIN」は、創業100年以上の歴史がある相鉄線が大正、昭和、平成と時代に合わせて移り変わっていく様子、そして令和時代に入って念願だった都心に直通することで、人々の環境が変化していく様子が描かれます。

 


演出としての仕掛け 其の①
「ファンが喜ぶ小ネタ」
鉄道ファンからは「小ネタが鬼のようにある」と話題になりました。ファン同士で盛り上がれるような演出が多数盛り込まれています。本プロモーションの楽曲を担当した日本でも有名なロックバンド「くるり」のボーカルの岸田繁さんは大の鉄道ファンで、以下のようにツイートされています。また岸田さん以外でも多数の著名人たちのツイートが話題となりました。

 


演出としての仕掛け 其の②
「名曲と名曲の出会い」
プロモーションの楽曲として使用されている、くるりの“ばらの花”、サカナクションの“ネイティブダンサー”という日本を代表する2組のロックバンドの名曲が今回の映像内でミックスされ一曲となり、ストーリーを美しく演出しています。
今回の物語は映像をご覧の通り、大正時代に出会った男女がすれ違いを繰り返しながら令和になってようやく100年の時を経て繋がるというストーリーとなっており、プロモーションのコンセプトでもある「相鉄が都心に直通する、繋がる」がストーリーと楽曲の二重構造で演出される仕掛けとなっています。

まとめ

今回ご紹介した3つのプロモーション、大きな共通点が一つあります。皆さんお気付きでしょうか?

正解は、

3つのプロモーションとも監督が同じ方です。(柳沢翔さんという監督です。)演出によって企画をさらに愛される映像へと昇華する技が見事ですね。


各企業や商品の骨を表現しつつ、ファンもしくは応援するユーザーと企業を繋ぐブランデットコンテンツ。コンテンツとしての魅力は「演出の細部に宿る」と感じました。企業の思いを後押しする制作人たちの「熱量」「職人的なこだわり」が魅力的なコンテンツを作る秘訣なのかもしれません。

Planner / Marketer

TAKEI Shota

武井 祥太

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