HHH戦略(スリーエイチ)
〜 Googleが提唱する3つの動画 〜
- #Case study
企業とブランドについて、様々な観点から考察していくブランデッドコンテンツ特集の第8回目。
多くの人に視聴してもらうということは動画マーケティングにおいて重要なKPIの一つですが、「ブランド認知・理解を高める」「コンバージョンにつなげる」といった成果につなげるためには、ただ多くの人に動画を視聴してもらうだけでは不十分だと思います。
そこで今回はGoogleが提唱するコンテンツ設計の鍵となるHHH戦略(スリーエイチ戦略)を紐解きながら、ブランデッドコンテンツについてもより深く理解していきたいと思います。
HHH戦略とは何か?
頭文字がHで始まる3つのコンテンツ「Heroコンテンツ」「Hubコンテンツ」「Helpコンテンツ」から成り立つとGoogleは説きます。
それぞれのコンテンツを作成し「適切な場所とタイミング」で配信することで、動画マーケティングにおいて大きな成果を上げることができるという戦略です。
それぞれ3つのコンテンツがどんな役割を果たすのか?
今回は2021年4月にHONDAから発売されたVEZEL(ヴェゼル)という車のプロモーションの事例を交えて説明していきたいと思います。
Heroコンテンツとは?
Hero(ヒーロー)という名前からも分かるように、大衆(潜在顧客)に対し「企業の知名度を一気に高める」ことを目的にしたコンテンツです。
「感動・面白い・かわいい」など、できるだけ多くの人が興味関心を持ちやすい、またSNSやWebメディア等でシェアされやすい、注目されやすいコンテンツのことを差します。
①Heroコンテンツ事例
タイトル:
VEZEL e:HEV ブランドムービー
内容:
ブランドムービー Music by 藤井 風「きらり」
このプロモーションのコアメッセージは、「世界に、あたらしい気分を。」です。
新型VEZELのターゲットは、「何かを創ったり発信したり、クリエイティブなことに興味がある人」「さまざまなコミュニティに属し、年代や性別に捉われず、オープンでフラットなつながりを大切にしている人」。としていて、
ムービーには、13人と2匹のアンバサダーが登場します。
各界の第一線で活躍するさまざまな国籍や年齢、バックボーンを持つメンバーで結成されています。
この映像の特徴は出演しているアンバサダーたちもカメラを持ち、スマートフォンやフィルムカメラ、8mmカメラを持って、互いに撮影しあっている点です。
それぞれの視点で新型VEZELと楽しむ様子が記録され、ドライブを楽しむ空気感や一体感が映し出されています。
Hubコンテンツとは?
Hubコンテンツは、SNSやサイトで「Heroコンテンツ」と出会った視聴者に対し、「他の動画も見てみたい」と思わせる役割を果たすコンテンツを指します。「Heroコンテンツ」を1度見た視聴者をリピーターに変えるのが「Hubコンテンツ」です。
「Hubコンテンツ」は「Heroコンテンツ」より、一段ターゲットオーディエンスを明確にし、ユーザーのニーズを汲み取った内容を目指すことが大切です。
②Hubコンテンツ事例
タイトル:
VEZEL e:HEV VEZEL REVIEW
内容:
特徴を楽しく紹介
VEZEL e:HEV Movies|ヴェゼル|Honda公式サイト
各アンバサダー目線でVEZELの特徴を紹介しています。
初めて車を購入する人や車の知識がない人でも楽しみながら理解することが可能なコンテンツとなっています。
Helpコンテンツとは?
「Helpコンテンツ」は「Hubコンテンツ」より、さらにターゲットオーディエンスを絞り、想定するターゲットが“ピンポイントで必要とする”コンテンツを指します。
商品の使い方のハウツーやサポートに関する情報を含んだ動画がHelpコンテンツです。
③Helpコンテンツ事例
タイトル:
VEZEL e:HEV「充実機能紹介」篇
内容:
より詳しい特徴の紹介
上記の「充実機能紹介」動画以外にも、「走行性能紹介」「先進機能紹介」などユーザーの知りたい情報に合わせたコンテンツが用意されています。
まとめ
3つのコンテンツのサイクル(認知、興味関心、比較検討)によって一般ユーザーをファンにすることが可能です。また各役割を持った3つのコンテンツが三位一体となって初めてブランデットコンテンツの役割を果たすことができると考えます。
今回のVEZELのプロモーションは結果的に大成功で発売後から人気を博したようです。
短期的な成功も重要ですが、企業へのより深い理解を目標にしたときに長期的視点を持った戦略が重要になってくると感じました。