Feed

社会の正義を訴えるクリエイティブ

  • #Case study

グローバルな広告トレンドとして、気候変動やエネルギー問題、差別といった、より社会的課題へのコミットが
注目を集めています。しかし日本の広告クリエイティブは、古くからそうした強いメッセージ性を避けてきたように思います。
思想的な偏りは異なる価値感を保つ人からの反感を買うリスクがありますし、”ええカッコしい”と思われたくないという意識が
はたらくためと思われます。しかし日本人の意識もここ数年で変化し、そうした社会的なメッセージへの理解が、
若年層を中心に広まりつつあると感じます。そこで今回は、この国で共感を得るための
ソーシャルグッドな広告のあり方を、事例と共に探っていけたらと思います。


事例01 パンテーン「#HairWeGo」


このキャンペーンは、髪型への固定概念や同調圧力っておかしいよね」っていう日本固有の問題に対して目を向けたことが
話題化に繋がりました。(高校生の校則をテーマに実施した2019年には、2日間で20000件のツイートを獲得)
海外の広告には、人種差別や同性愛などを取り上げるケースが多いのですが、
社会的なバックグラウンドの違いから日本ではあまりピンと来ません。
それよりも、「引きこもり」「高齢化」「ロスジェネ」などの日本固有の社会問題と向き合うことが重要です。


事例02 そごう「女の時代、なんていらない?」


最初から最後までコピーを読み込むと、ソーシャルグッドな広告として理解できますが、ビジュアルとコピーを一見するだけでは、
女性を蔑視する挑発的なクリエイティブに見える西武・そごうの広告。意図的なのか、それとも”釣り”のさじ加減を誤ったのかは
定かではありませんが、ネットが炎上し、後味の悪い結果を残すことになりました。
社会的正義を唱える広告は、言葉選びひとつで、180度評価が変わってしまうリスクがあるということを認識しなければいけません。


事例03 グリーンリボンキャンペーン事務局「SECOND LIFE T♡YS」


日本が世界に比べ、遅れている分野のひとつに臓器移植があります。手術が受けたくても受けられないという現実を、
より多くの人に知ってもらいたい。そのために考えられたのが、このプロジェクトでした。
壊れてしまった大切なぬいぐるみに、使われなくなり、提供されたぬいぐるみの
一部を使って再生され、持ち主に戻されます。別のぬいぐるみからの移植を受けることで
新しい命が吹き込まれるこの体験から、臓器移植で命をつなぐことを考えるきっかけが生まれます。
こうした社会課題に対するクリエイティブなアクションは、メディアが喜ぶテーマです。
このプロジェクトも様々な媒体で取り上げられ、拡散に成功したとのことです。


まとめ


”課題先進国”と称される日本の「固有の問題を軸に据える」ほうが、
国内においてはもちろん、海外においても興味を引く
クリエイティブにつながるのではないか?

社会課題に言及するコピーの「言葉選び」は慎重に。

単に社会に対しての批判や問題提起をするだけではなく、
課題に対して何らかの”挑戦”や”アクション”を行う企画のほうが、
より多くの共感や話題化につながる可能性がある。

Planner

TANAKA502

田中502

Page TOP
右脳事件