東京オリンピックを振り返る
- #Case study
様々なことが起こった東京オリンピック2020。
国立競技場の建設計画の白紙撤回から始まり、エンブレムのデザイン盗用疑惑、新型コロナで1年延期、森前会長の女性蔑視発言、さらには開閉会式をめぐる人選問題。開会式問題が過熱していた7月19日、トヨタ自動車が「日本国内におけるオリンピック用TVCMを中止する」という衝撃的な発表もありました。
※トヨタ自動車は長年ワールドワイドオリンピックパートナーとして10年間で2000億円の契約料を払ってきたのにもかかわらずです。
今回は東京オリンピックに因んだ海外のCMをご紹介していきたいと思います。
①フランス公共放送 CM
タイトル:
「2021年夏季オリンピック東京大会での大相撲」
内容:
東京五輪・パラ中継番組PR
2024年のオリンピック・パラリンピックの開催国であるフランス。
フランスの公共放送であるフランステレビジョンが東京大会の中継番組をPRするためにユニークなアニメーションを制作しました。
映像は浮世絵風のアニメーション で、相撲の力士がサーフィンやスケートボードなど東京大会で新たに採用された競技を次々にこなしていく内容となっています。
日本の伝統的な浮世絵の世界観を大事にしながら、新しさをうまく取り入れています。日本人なら一度は目にしたことのある葛飾北斎の波をサーフィンで滑り降りる様子は印象的です。
②トヨタ 海外CM
タイトル:
Start Your Impossible
内容:
ジェシカロングの物語。海外プロモーション
シカ・ロングさんが主人公です。
大きなプールで泳ぎ始めます。
水面に机が浮かび上がると同時に電話が鳴り、一人の女性が受話器を取ると、
「ロングさん?」と電話の向こうの声が聞こえてきます。
「養子となる女の子がみつかりましたが、お知らせすべきことがあります。生まれつきまれな疾患があり、両足を切断しなければなりません。辛い気持ちはお察しします。困難な人生を送ることになるでしょう」と。
パラリンピック水泳のゴールドメダリスト、ジェ
ジェシカさんは、幼年期の思い出の間を力強く泳いでいきます。
母親は電話の声にこう応えます。
「大変でしょうけど、本当に嬉しいです。早く会いたい」
映像は疾患により両足を切断したジェシカさんの成長過程を描いています。しかしその成長過程は全て浸水したような異様な風景として表現されています。成長過程で彼女に立ちはだかる壁や困難を「水」というモチーフで比喩表現しています。
しかし映像ラストでは「水」というモチーフが彼女自身を支えるものとなり、または戦う場所であり活躍する場所として描かれていきます。
監督は映画「ザ・セル」で有名なターセム・シン氏です。
金メダルに至るまでの彼女の挑戦を見事に「水」というモチーフで表現していると感じました。
まとめ
今回の東京オリンピックは「コロナ」という大きな問題の浮上により、当初日本が掲げていた「大震災からの復興」、またオリンピックという祭典自体が掲げる「スポーツを通した世界平和」という目的からは遠のいてしまいました。
オリンピックの「ビジネス化」や「経済効果」についての議論により、オリンピックそのものを開催する意義や意味が問われたような気がします。
コロナ危機という特殊な要因があったとは言え、お金を出せば無条件に宣伝効果やブランディング効果が見込めるものではないと感じました。