Feed

あるいは裏切りという名の美学

ブランデッドコンテンツについてしばらくお伝えしてきましたが、

前回で一旦お休みさせていただきまして、今回から通常営業に戻ります!



というわけで通常営業初回は、物語の展開を裏切る「裏切りの美学」を持った広告をご紹介します。

フリオチが効いた物語って気持ちが良くないですか?

まさかこんな結末が待っているなんて!?という、これまで観て来たものが覆される感覚。

そんなどんでん返しのテクニックは、どのように広告に生かされているのでしょうか?

それでは観ていきましょう!

①VOLVO(UK/自動車)

タイトル:
ULTIMATE SAFETY TEST

内容:
もっとも大切なこと

 

 


一人のナビゲーターが究極の安全テストを求めてボルボ安全センターを探検。
「正面衝突テスト」から「ランオフロードテスト」まで、あらゆる種類の刺激的で残酷な衝突を目撃していきます。
そこから彼の旅は北上して北極圏のテスト施設にたどり着き、究極の安全テストと思われる100フィートからの落下を見る準備をしますが、テストは氷河の崩壊によって中断されてしまいます。

 


究極の安全テストである「気候変動」に合格しなければ、どのような衝突テストも意味がないということを、こちらのフィルムは訴えているのです。

 


3点式シートベルトの発明者であり、その他多くの先駆的な安全革新を行ってきたボルボブランドは今や安全の代名詞に。
持続可能性が安全性と同じくらいブランドにとって重要になること。
ボルボは、ここまでの物語の展開を大きく「裏切る」ことで、約100年来のブランド目的の最大の変化を視聴者に伝えようとしています。

②P & G(USA/日用品)

タイトル:
WIDEN THE SCREEN

内容:
次に何が起こるのか

 

 


このフィルムでは、3つのステレオタイプなストーリーが展開されます。
最初のシナリオでは、夜のコンビニで黒人のティーンエイジャーのグループが冗談を言い合っている様子が描かれています。
凶悪犯でしょうか?
その後、黒人の妊婦が4歳の息子と生まれたばかりの赤ちゃんを連れてバス停で待っている場面に切り替わります。
未婚の生活保護者でしょうか?
最後に、30歳の黒人男性が音楽をかけながらシボレー・モンテカルロを運転している姿が映る。
犯罪者でしょうか?

 


3つのストーリーを紹介した後、NAは、「もし次に何が起こるか分かっていると思うなら、自分に理由を聞いてみてください」と言います。
NA後に描かれる物語は、ここまでの展開を観た視聴者に、いかに人種的バイアスがかかっていたかということが明るみになります。
人種間の不平等がアメリカの生活の中に浸透していること。
2020年にBLMが起こったように、このようなネガティブなイメージは人々が消費するコンテンツにも反映され、凶悪犯や犯罪者といった極端な形で黒人の生活を表現しています。

 


映像の最後には、以下のようなメッセージが投げかけられます。
Let’s widen the screen so we can widen our view.
視野を広げるために、画面を広げよう。
毎日をより良くしたいという、P & Gの考えが現れています。
視聴者のバイアスを「裏切る」ことで問題を浮き彫りにしたこちらの映像、とても鮮やかですね。

③SANDY HOOK PROMISE(USA/非営利組織)

タイトル:
BACK TO SCHOOL ESSENTIALS

内容:
新しい常識

 

 


最初は典型的な学校帰りのように見えるこちらのフィルム。
学校のロッカーにいる男の子が、完璧な新しいバックパックについて語り、教室にいる女の子は、カラフルな新しいバインダーを紹介しています。
しかし、学校で銃撃戦が行われていることが明らかになると事態は暗転し、生徒たちは命を守るために新しい学校用品を使い始めなければならないという衝撃の展開に。
スケートボードは窓を破壊して逃げ道を作るのに使われ、靴下は止血帯に使われます。

 


アメリカでの子どもたちの銃による事故の死傷者数は、毎年約15,000人。
人々はこの「新しい常識」を受け入れているようで、学校での銃乱射事件を防ぐことよりも、生き残る方法を子供たちに教えることに重点を置いているそうですが、サンディフック・プロミスは、これは間違ったアプローチであると考えています。
映像の最後では、学校での銃乱射事件を防ぐには、銃乱射事件を起こす可能性のある人物の兆候を見極めることが重要だとメッセージが提示されます。

 


2012年に設立されたサンディフック・プロミスは、学校での銃乱射事件を防ぐために、子供たちや親たちに銃乱射事件の兆候を見分ける方法を教えてきました。
日常に突如として襲いかかる悲劇的な事故を「裏切る」ことで大きなインパクトを残すことに成功しています。

 

また、サンディフック・プロミスは同様のフィルムを他にも公開しています。

まとめ

大事なことは、「裏切る」ときに伝える。

単なるギミックとして「裏切り」を使うのではなく、背景と目的を連動させ、効果的に「裏切り」を取り入れていることがわかります。

一番印象に残るタイミングに主張を持って来る。

だからこそ強いし、伝わるんですね。

シンプルなことですが、とても高度なクリエイティブではないでしょうか。

視聴者に強烈なインパクトを残したいとき、これらのクリエイティブが大きなヒントになるかもしれません。

Planner / Graphic Designer

OKADA Yohei

岡田 洋坪

Page TOP
右脳事件