2023 採用プロモーションパトロール
- #Case study
今、企業は学生らに対してどのようなスタンスで自らの魅力を発信しているのか?

就職人気企業ランキング
1位:伊藤忠商事
2位:講談社
3位:集英社 これまで「冬の時代」と叫ばれてきた出版業界が一転し、人気を集めるようになった背景には、コロナ禍での「巣ごもり」という社会的トレンドや「鬼滅の刃」などのアニメブーム、デジタル化への移行が軌道に乗りつつあることが大きいと思われます。
(講談社は2020年11月時点で、電子書籍&権利ビジネスの売り上げが紙の出版物を初めて超えた)1位は伊藤忠商事。5大商社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)の中で伊藤忠が人気を集める理由としては、他の商社よりも面白くて自由、若手でもチャレンジできるといった社風や、働き方改革の進展による生産性の向上、幅広い学校に対して門戸を開いていることにあるようです。
①伊藤忠商事
テーマ:
アオい情熱を待っている
情熱ある人を求めているというド・ストレートなメッセージは一見、とても普通に見えますが、同業界を志す学生にとっての伊藤忠の企業イメージ(「強い個人」がプロジェクトを牽引していくイメージ)を象徴するものです。特設サイトのメッセージやコンテンツにも、そうした意思が色濃く現れています。
活躍する個人フォーカスしたエッセイ風のストーリー「コンフリクト」を定期更新。
その他注目コンテンツ:伊藤忠商事は、2022年から就職活動にVR(仮想現実)を導入。4月入社予定の内定者によって、企画が考えられたそうです。オンラインでなかなか人と会う機会がないことで、雰囲気や社風がわからないという学生の声を反映し、東京本社のワンフロアをVRでリアルに再現。この空間には、採用ページに登録した学生のみ入ることができ、好きなアバターを選択し、自由に歩き回ることができます。4月からは、世界中の駐在員をVR空間上で訪問できるようにするそうです。
②講談社
テーマ:
書き出そう、世界と君のものがたり
個々の学生のこれまで歩んできた人生を「物語」とし、多様な価値観を尊重しながらあなたの未来の物語が生まれる場所として、講談社を位置づけていく内容となっています。
内定者たちが素直な気持ちで綴ったショートエッセイを公開。
その他注目コンテンツ:
人気アニメ 『昭和元禄落語心中』の与太郎が、就活生に向けて、講談社の歴史や現状をズバッと解説する会社紹介動画を公開。
④集英社
テーマ:
その種を育てよう。
ヒットコンテンツの「種をまき、育てる」ことのワクワクをテーマとする明快なメッセージを学生に対して投げかける内容としている。
■その年の就職活動のスローガンと学生に向けた数行のメッセージを用意する企業が多く見受けられる。「何を育てているのか?」をヒットコンテンツ、新しい価値、次世代の才能という3つの切り口に分類し、事例を通して紹介していくスペシャルコンテンツを展開。
その他注目コンテンツ
過去の採用ページ のスペシャルコンテンツのアーカイブを展開。
インタビュー動画はオーソドックスな構成
まとめ
1 企業ビジョンとは別に、その年の就活生に向けた「スローガン」と「数行のメッセージ」を用意する企業が多く見受けられます。主語が「自社」ではなく、「学生」であることが重要だと考えられます。
2 組織力を打ち出すよりも、個人を尊重し、就職後も「個の能力」を引き出せる社風の企業が人気を集める傾向があるように見受けられます。
3 いつの時代も就職活動は個人戦。学生個人の内面に対して働きかけるプロモーションが共感獲得のフックになっているように思います。
4 新卒採用ページなどのプロモーションが充実している企業が必ずしもランキング上位にくるとはかぎりません。
しかし「その会社を希望する就活生にとっての”モチベーション”を高める力」には確実になるだろうと推測できます。