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「ナッジ理論」に基づくクリエイティブ

  • #Case study

最近、メディアがにわかに注目し始めた「ナッジ」。

「ナッジ」とは「人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法」のことを指します。
人々が選択をし、意思決定をする際の環境をデザインすることで、
行動変容を導く仕掛け(エクスペリエンスデザインの一種)ですね。

「日常の身近な社会課題に対して、クリエイティブのチカラで一石を投じる」を合言葉に
広告勉強会で取り組んできた ”企画の「き」” も実は「ナッジ理論」を実践するためのトレーニングになっていたわけです。

今回はそうした「ナッジの好事例」から、
改めて「クリエイティブのポイント」について整理していきましょう。

①VW(スウェーデン/クルマ)

タイトル:Piano stairs
内容:地下鉄の出口で、楽チンなエスカレーターではなく
あえて階段を使わせるための「ナッジ」の実証実験


階段をピアノの鍵盤に見立てて、登ることで音が奏でられる仕掛け。
通常に比べて、66%も多くの人がエスカレーターに乗らず、階段を利用するようになったそうです。
現在世界中で同様の取り組みが広まっています。

尚、VWでは現在「ナッジ」をクルマにも応用しようとしています。
例えば、シートベルトを着用することで、車載のエンターテインメントシステムが楽しめるといった仕掛けが考えられています。

②KYOTO CITY OPEN LABO(京都市✕NTTデータ経営研究所)


タイトル:なし
内容:タクシー乗り場からはみ出して停車しようとしているタクシーが、
その瞬間に思いとどまらせるための「ナッジ」を用いた実証実験。


京都市では、これまでポスターやフリーペーパーを通して違法行為を無くす呼びかけを行ってきましたが、
改善されませんでした。しかし、今回掲出された看板によって、1日あたりの違法停止時間の約90%削減に成功したそうです。

③西鉄バス(日立✕西鉄)


タイトル:なし
内容:バスや電車の混雑対策として、専用アプリにナッジ理論を導入


バスや電車が混雑している際に、利用者個々の属性に合わせた地域のお店情報を提供することによって「積極的な寄り道」を促し、
公共交通機関の混雑緩和と地域経済の活性化の両立を狙った施策です。

まとめ


ナッジのクリエイティブのポイント

「 たのしさ(FUN)」

思わずやってみたくなる、興味を掻き立てる”楽しいものごと”を提供。

「いいこと、わるいことの可視化&明文化」

普段は見えにくい「社会にとってのいいこと」や「社会に及ぼす害」を浮き彫りにする。

「ナッジ ✕ デジタル」(※今後の展開)

ナッジ理論とアプリなどのデジタル媒体をかけ合わせた施策を提供していく。

 

世の中には「やったほうがいい」とわかっていても「変えられないこと」が沢山あります。
そうしたものごとに対して、プリミティブなアプローチでありながら、
極めて本質的な解決をもたらす「ナッジ」は、テクノロジーに頼りがちな
今どきのクリエイティブに、一石を投じる存在であり、
いま私たちが「立ち返るべき広告づくりの原点」のように思えます。

Planner

TANAKA502

田中502

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